こんにちは。筑波大学芸術専門学群3年の八木明日香です。
茨城県つくば市上郷の田倉には伝統的な3匹獅子という民俗芸能が伝承されています。
今から約300年ほど前の江戸時代中期に疫病が流行した頃に村人達が獅子舞に祈りを込めて厄災を取り払おうとしたのがこの獅子舞の始まりとされています。
この3匹獅子は、田倉に元々住んでいた家の長男だけに伝えられてきました。
祭礼の際に毎年舞うわけではなく、「神社の遷宮」、「鳥居のくぐり初め」、「橋の渡し初め」、「雨乞い」などで七度半の使い(七度も招かれても出ず、やっと出ようとする時には8度目の使いが途中までたっている)によって出舞する格式の高いものです。
出舞が不定期で伝承が毎年繰り返され無い為、時には数年見ることが出来ず、最近は筑波科学万博の開会式(昭和60年)での舞が最後となっています。
獅子頭は雄獅子、雌獅子、子獅子の3匹で、それぞれの胸に太鼓を付けて舞います。
舞の構成としては、舞う場所までを「とおり」という曲で進み、「おかざきの舞」を始めに「雌獅子の舞」、「雄獅子の舞」、「子獅子の舞」が続き、雄獅子が1人で悪魔を退治する「ぼんてんとり」でこの獅子舞はクライマックスを迎えます。
舞初めから終了まで約20分です。
ぼんてん(画像左側の大幣のようなもの)を悪魔に見立てて「悪魔払い」をするのがこの舞の基本構成となっています。
おかざきの舞について
なぜおかざきという名の曲なのか、正確な理由は分かっていませんが、女郎衆が訛ったものという説があります。
事実、岡崎女郎衆という小唄が(江戸時代初期に三河国岡崎地方に広まったとされる)存在し、近世初期に三味線の稽古曲などとして歌われました。この岡崎女郎衆は早くから獅子舞の曲として知られ、群馬県の役原獅子舞など他方の獅子舞でも使われています。
舞は総勢20人ほどで構成され、3匹獅子の他に先頭で錫杖のような金棒を持つ子供(露はらい)が2人、御幣(ぼんてん)を持つ子供が1人、笛を吹く子供が12~13人、笛を吹く大人が2,3人います。
(左から雌獅子、子獅子、雄獅子)
獅子の様相
獅子頭は高麗犬型よりも龍の頭に近く、黒塗りで、目は真鍮のような金属で出来ています。頭自体はとても軽く丈夫で、おそらく桐で出来ているとの事です。
歯は金色に塗られ、頭には2本の角があります。子獅子は1本のみです。
特徴的なのはたてがみで、黒い艶やかな鳥の羽根で出来ています。
作者は不明とのこと。
何年も前の物ですが、迫力がありとても立派な獅子頭でした。
復活に向けて
現在上郷では、三匹獅子の復活に向けて田倉の三匹獅子保存会の会長の三谷さんをはじめ、発起人の大塚さん、上郷地域活性化協議会の小久保さんなど有志の方々が保存会設立と後継者育成に向けて活動しています。
八木明日香
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