こんにちは。芸術専門学群2年の川口恵舞です。
私は環境デザイン領域を将来的な主専攻にしたいと考えています。今回は上郷を巡って出会った人々と、上郷を例として、地域の今について考えました。
上郷は、つくば市の8つの周辺市街であるR8を構成する一地域です。つくばセンターや大学から自転車で行くのには少し遠いですが、食や観光だけではなく、人々や地域の景観など、多岐にわたる魅力がたくさんありました!
一方で、こうした周辺市街地と呼ばれる地域の活性化やまちづくり、町おこしにはさまざまな課題もあるのではないかと考えました。
閑静な住宅街を歩く中で、一軒のお宅の庭が目に止まりました。等間隔に生える木は雪だるまのように整えられており、奥は少し見えづらいです。その奥で、ガサゴソと何か作業をする音が。これはお話を聞けるチャンスではないかと思いましたが、私の性格上緊張してお宅の前で少しの間躊躇っていました。覚悟を決めて恐る恐る「すみませ〜ん」と声をかけてみると、出会ったのは塚田さんという男性の方でした。
お庭の一角で大きく実をつけた茄子の収穫作業をされていました。家庭で食べる分を作り、多くできれば知り合いの方にもお裾分けしているとのこと。茄子の他に、パクチーやほうれん草、季節によっては苺なども育てているそうです。
他にも上郷の祇園祭りについてお話ししました。上郷の祇園祭りでは7月下旬に上郷地域をお神輿で練り歩きます。昔は地域の隔たりなくもっと大きな規模で行っていたと塚田さんは言います。しかし地域間の意見には相違があり、まとまりを保つのはやはり難しいとのことで、妥協点を見つけるより、規模を小さくしてでも意見が同じコミュニティの中で行いたい人が多いのだそうです。お祭りは地域を盛り上げるイベントですが、次第に小さな規模で行われるようになって、住民の中に浸透していることに、ある種の衝撃を受けました。
地域連携に主眼を置く活性化や企画では、当事者である住民が難しいと感じることも少なくはないのだと感じました。地域の振興には、住民以外の人も関わるとより充実したものになるはずですが、住民の思いや積極性が一番に影響するものであることに変わりないはずです。住民が当事者である割に、住民同士のつながりがすでに希薄、消極的に考えることが少なからずあるのは地域活性のデザインにおいての課題であると感じました。
この空き地は住宅の取り壊しと新築の建設が行われるそうです。塚田さんのお宅に行く途中、二軒ほど隣に位置していました。大部分が空き地になった状態のこの場所には四軒の新築住宅が建ちます。
取り壊され使われていない家(一般的にいう空き家)もあるそうですが、利活用にあたって持ち主の方は金銭的な条件をつけるなど、あまり積極的な姿勢はないようです。こうした地域活性に一年に市から支給されるお金が50万円ほどとのことなので、使い道の難しさを強く感じました。
私は空き家の利活用による地域活性に興味を持っていますが、市などの支援で満足に行えるほど制度や地域の個人の協力が十分ではないのではと実感しました。やってみよう、という試験的な試みにも出費は発生するのに、短期間での成果を示しづらい点は地域の活性化をする上でネックになる部分です。使われていない空間を使ってあげる、可能なら私的空間も地域の資源として使うことの価値を見出し、理解を促すことも大切だと感じました。
塚田さんとはお庭のことから世間話まで様々なことを話しました!
公的な道路から見える私的な庭空間の美しさに惹かれた先には素敵な出会いがありました。
その後、アオニサイファームに訪れました!
アオニサイファームは観光農園として作られたブルーベリー農園です。ブルーベリー食べ比べ体験や摘み取りのほか、プレハブのカフェではブルーベリーのピザやジャムを使ったスイーツなどを楽しめます。
私はスムージーをいただきました。暑い中現地調査していたので体に染み渡りとても美味しかったです。
アオニサイファームの青木さんは、ご家族で上郷に観光農園としてブルーベリーファームを営んでいらっしゃいますが他にもつくばの農家が主役となるイベント「ワニナルプロジェクト」をされています。とても気さくで明るい印象の方で快くお話をしていただきました。
最後に八木製菓という和菓子屋を訪れ、ご主人の方と少しお話しできました。
ほとんどの場所で、私が自転車で来たことに驚かれました…笑
【終わりに】
上郷はつくば市の周辺市街地にあたりますが、周辺地域との関係は段々と希薄になっている事実があり、少し独立している印象をいだきました。R8の地域がそれぞれ分断されている感じに違和感を持ったのかもしれません。一方そこに住み地域に関わる活動をする人や上郷を超えてアクションを起こす人がいるのも事実です。上郷の人はとてもフレンドリーで、上郷のことや今なさっていることを沢山お話しできました。その地域に根付く人々が地域の現状をどのように捉えているのかを知ることは、「他者」が地域を興しに関わっていく第一歩だと感じました。
川口恵舞
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